屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

 やがて映画館へ到着し、私たちは予約していた席へ向かった。

 恋愛映画はさすがに露骨すぎる。そう思って選んだのは話題のミステリー映画だった。
 これなら自然だ。

 しかし席を見た瞬間、私は別の意味で固まった。
 思っていた以上に席同士が近い。

 でも行くしかない。先に座った社長の隣へ、決意して腰を下ろした。
 しかし……勢いをつけすぎた。

「ひゃっ……!」

 思った以上に距離を詰めてしまい、腕がしっかり触れた。
 私は一瞬で固まる。

 絶対失敗した。計画的なボディタッチをどこかでと思っていたが、ただの事故が起こった。
 私は顔が熱くなるのを感じながら恐る恐る隣を見る。

 すると社長は、微動だにしていなかった。

 社長、なんでそんなに平気なの? 私は今、心臓が破裂しそうなんですけど……。
 なのに隣の社長は、まるで映画館の椅子と一体化したみたいな落ち着き払った顔でスクリーンを見つめていた。
< 81 / 228 >

この作品をシェア

pagetop