屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

 映画館を出たあと、私たちはそのまま駅前を歩きながらレストランへ向かう予定だった。正直、映画の内容より、隣の社長が気になりすぎて精神的にへとへとではあった。ただ、やっと迎えたチャンス。泣き言は言っていられない。

 けれど、駅から少し離れたあたりで、私はふと違和感を覚えた。
 隣を歩く社長の歩幅が、ほんの少しだけ小さくなっている。

 他の人なら気付かない程度だったと思うけど、今日の私は、社長をどうドキドキさせるかばかり考えていたせいで、逆にずっと社長の様子を見ていたから気づいたのだ。

 私は足元を見つめながら考える。

 そういえば今日だって午前中は仕事だった。
 平日は朝から晩まで働いている。休日だって仕事。

 それなのに私は、どうやったらドキドキさせられるだろうって、そんなことばかり考えていた。
 私は……バカだ。
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