愛してるの期限が切れる前に
【序章 誤解】

「可愛い」

 シーツに両手を縫い付けるように俯せに押さえつけられた百花(ももか)を揺さぶるのは、モルフォ蝶色の瞳をした男。
 そこには汗で張りついた薄茶色の髪の奥から、爛々と劣情の光が宿っていた。

「可愛い、もも。もっと声聞かせて。淫らに鳴いて」
「や……ぁ、あ……んんっ」

 打ち付けられる腰の動きが、百花をおかしくさせる。
 中をかき混ぜられ、気持ちのいいところばかりを責められて、自分がどうなっているのかもわからない。
 何度、高みに押し上げられた?
 幾度、熱を注がれた?
 苦しいくらい辛いのに、身体は彼がくれる快感を求めている。
 目の奥で銀色の閃光がチカチカと瞬くのに、百花の口は歓喜の声を上げている。
 頬を染め、シーツの波に半分顔を埋めながら、頭が真っ白になる感覚に溺れていた。
(好き……、好き)
 一生、抱かれることはないと諦めていた。

「あぁ……、んぁ、あっ」

 百花の中をかき混ぜるような腰の動きに、嬌声が止まらない。
 彼になら、なにをされてもいい。
 どんな痴態でも、望まれれば受け入れるだろう。
 そう思ってしまうくらい、百花はこの行為に陶酔していた。

「あぁクソ、脳ミソが溶けそうだ。もも、もも――」
「レ……オ、……ぁあ、――き」

 玲桜が好き。
 今は、それ以外のことなんて考えられない。

「は……あぅっ、ん、んん!」
 すぐ近くで玲桜の息遣いが聞こえる。彼が愛用している香水のウッディな香りが、汗と混ざって百花を一層興奮させた。
 その余裕のなさをもたらしているのが自分なのだという事実に、百花の劣情を煽る。

「もも、キスして」
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