愛してるの期限が切れる前に
 でも、玲桜はそれができると思っていた。
 あのことがあって、百花たちがそれぞれに抱いていた感情は、途方もなく乖離したものだったのだと気づかされた。
 子どもができたなんて言っても、きっと迷惑に思われるだけだ。
 またお金で解決される気がしたから、なにも言わずに玲桜から遠ざかった。
 逃げてほっとするのも不思議な話だけれど、長い片想いにようやく終止符が打てた気がした。
 あれから、四年。
 たくさん悩んだ時間の分だけ、今の生活を選んでよかったと感じる。
 あのとき、花を手放さなくて本当によかった。
 十九歳の自分に会えるなら、「それは英断だよ」と伝えた。だから、迷わず産めばいいと。
 ペダルを踏む足にも力がこもる。
 今日は水曜日。あと半分、頑張ろう。
 職場であるコールセンターに到着した百花は、午後五時までみっちり働いたのち、花を迎えに行った。
(あー、早く免許取りに行かないと。でも、時間がね)
 地方住まいに車は必須と言われた意味を今、嫌と言うほど痛感している。自転車は天候で気持ちが左右されやすいのだ。
 晴れと曇りの日以外は、たいがい憂鬱だし、猛暑も辛い。雪の日は当然乗れない。
 自転車では大きなものは買えないし、重たいものを買いすぎればバランスが安定しなくなる。だからと言って、バスを利用するにしても、経路によっては十分で行ける場所が、何倍も時間がかかってしまう場合もあるのだ。
(一長一短なのよねぇ)
 もう少し花が大きくなれば、子どもを連れての移動も楽になるのかもしれないが、今は自転車が最適だった。

「ままぁ」
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