一緒にいたくて男装執事になったのに~嫉妬と溺愛とまりません~【隣国編】
そう言えばそうだった。
ギル様を好きだと気づいて告白したあの日にこの姿とおさらばしたはずだったけれど、今回は離れたくないがゆえに、男装執事になっているのを忘れていた。
不思議なものだ。
前回はギル様から逃げるために男装執事になったのに、今回は一緒にいたくて男装執事になっているだなんて……ふふふっ。
久しぶりなこともあって、カツラの存在をついつい忘れそうになる。
今の私は、茶色のショートカットのカツラに執事服を身にまとい『男装執事リオ』になっているのだ。
ギル様の指先が、風で少しだけ乱れたカツラを丁寧になおしてくれた。
何度か優しく触れたあと綺麗に整った私の髪の毛を見て「よし」と優しい声が降ってくる。
最後に頭をぽんっと一撫ですると、温かい手が離れていった。