71歳の恋愛小説家

71歳の恋愛小説家は日々の暮らしも楽しむ

裕子の長男の健司は加奈子を心配して時々マンションに来てくれる。

夕飯を食べて帰っていくのだが、この頃は独り立ちしようと思うと言って賃貸を探しているようだ。

実家からだと会社が少し遠いのだが、加奈子のマンションの当たりだと自転車でも行けるらしい。

地下鉄の駅もすぐなので便利だし、健司はなんと言ってもこの地域白壁の雰囲気が好きだと言った。

この辺の賃貸マンションが良いと言っているが、場所柄少し高いかもしれないが、会社にも近いし加奈子の所にも近いから出来たらこの辺で探したいと言うので、また不動産屋に頼むことになった。

丁度加奈子のマンションから駅までの間にある五階建ての中層マンションで、海外転勤になった独身男性の部屋が出ていたらしい。

転勤が終わって帰国が決まればすぐに明け渡すと言う条件で一LDKの部屋を貸したいと言うのを紹介してくれた。

でも三年は帰ってこれないそうなのでどうかと言われて見学に行ったら健司はすごく気に入ったらしく即決していた。

デナイナーズマンションで外観も部屋の作りもおしゃれだと言って、加奈子も引っ張って行かれた。

確かに部屋は男性的なモダンな感じの内装だった。

分譲マンションだったらしく住んでいる男性のセンスが良かったのだろう。

外観は加奈子が駅まで行く時にいつもお洒落なマンションだなあと思っていた物だった。

帰国が決まったら引き渡す事になる、そういう条件で家電もそのまま使っていいと言う事だった。

家賃も破格な値段だった。

健司は三年したら自分でマンションを買うつもりで頑張ると言って、独立した。

その時は加奈子も少し援助してやるつもりで健司名義の通帳を作り少しづつ貯めていった。

加奈子は外車のコンパクトな車を買っていたので、何かの時には健司に送り迎えを頼めるので助かった。

健司も休日など加奈子が使わない時には自分で乗り回していた。

そして、七十五歳で加奈子は免許を返納し乗っていた車は健司に譲った。
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