71歳の恋愛小説家
裕子のカフェも、固定客がつき、上の事務所の人達が休憩でスイーツを食べに来てくれたり、来客のコーヒーをオーダーしてくれたりした。

開店二カ月後からランチを始めた。

裕子は本来ならこっちの方が得意なのだ、料理教室に通い調理師免許も取得しているのだから…料理もおいしい。

ランチは三十食限定で、日替わりのワンプレートランチにしたようだ。

売上も当初予想していたよりも多くなり、裕子も安堵しているようだ。

カフェのオープンの頃には離婚の手続きもすみ、晴れ晴れとした顔で母娘二人で頑張っていた。

裕子の夫の涼介はごねることもなくこちらの条件を概ね飲んでハンコを押した。

ちょうど三年前に会社でミスをして減給になった時、裕子には言えなくて自分の貯金や実家の親に借金をして減給になった分の補填をしていたようだ。

それなのに何もしなくても相続で貰った駐車場の分が毎月九万も入ってくると喜んでいた裕子を苦々しく思っていたようだ。

そんな時に、裕子が給料が少なくなっている事に気付きお給料下がったのかと聞いてきて我慢ができなくて、暴力をふるったのが最初だったようだ。

それからはうっ憤を晴らすように時々暴力を振るうようになったようだ。

もともとそういう暴力的なところがあったのだろう。

いい訳にもならないと弁護士からは報告があった。

とにかく、縁が切れて良かったと、裕子も子供達もほっとした。

カフェは順調だったが、そこに持ってきて、ドラマのロケ地になったので、ドラマが始まるとその人気もあってカフェや隣のレストランも大入りになっていた。

加奈子はこれで裕子もしっかりと前を向いて働いて行けると思って安心したものだ。

孫の綾とも、色々相談しながらランチのメニューやスイーツを決めていた。

裕子にとっては頼もしい娘がいてくれてよかったと思う。

パートの主婦を二人雇って、ローテーションを組んで無理のない布陣で裕子はカフェを運営していった。
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