71歳の恋愛小説家
人生の終いに
夫を亡くしてから十二年後の八十一歳になった時に、加奈子はもう一度人生をリセットしたのだ。
かねてから予定していた琵琶湖のほとりにある有料老人ホームに入居を決めた。
自然の綺麗なところで、大浴場には温泉が引いてある。
近くには会員制のホテルもあり家族が来た時にはそちらに泊まりに行く事もできる。
加奈子は終の棲家に移ったことで、ここで人生を終える用意をしていった。
裕子も安定した収入を得て落ち着いてゆったりと暮らしているし、娘の綾も最近結婚した。
綾は結婚を機に会社勤めを辞めて主婦とカフェを楽しんでやっているようだ。
加奈子は老人ホームに移る時に大量の物を捨てて、服も外出用に各季節三~四着、後は普段着で十着くらいに厳選した。
捨てるのには勇気がいったが、全ては持っていけなかったのだ、バックも靴も本当に必要な物だけを選んで準備をした。
住んでいたマンションは孫の健司に譲った。
ちょうど結婚しようと思っている頃だったので、子供ができると手狭だが二部屋ある。
分譲なので家賃はいらないが、管理費や駐車場代に固定資産税が必要になる。
2部屋の個室は広く三畳の納戸もついているので、子供が二人位できても大丈夫な広さはある。
健司のすんでいたマンションの家主は結局海外赴任で海外に行ってから、九年たった今も帰ってくるめどはたっていないらしい。
健司はいつも加奈子のそばにいてくれて嫌な顔をせずにいつでも加奈子の足になってくれていた。
優しい孫で一番最初の孫なので加奈子も健司が可愛かった。
健司がマンションを買うときの為にコツコツ健司名義で貯めていたお金は、通帳とハンコと共に健司に渡した。
ここから贈与税を支払いなさいと言って…でもこれは皆には内緒ねと念を押しておいた。
健司が今まで嫌な顔もせずに、色んな所に出かける加奈子の足になってくれていた事のお礼だと言うと、そんなこと当然だし却って申し訳ないと言う健司に、大人になったなあと嬉しく思ったが、彼も三十歳になったのだ。
そんな事も言えるくらいの歳なのだと感慨深かった。
かねてから予定していた琵琶湖のほとりにある有料老人ホームに入居を決めた。
自然の綺麗なところで、大浴場には温泉が引いてある。
近くには会員制のホテルもあり家族が来た時にはそちらに泊まりに行く事もできる。
加奈子は終の棲家に移ったことで、ここで人生を終える用意をしていった。
裕子も安定した収入を得て落ち着いてゆったりと暮らしているし、娘の綾も最近結婚した。
綾は結婚を機に会社勤めを辞めて主婦とカフェを楽しんでやっているようだ。
加奈子は老人ホームに移る時に大量の物を捨てて、服も外出用に各季節三~四着、後は普段着で十着くらいに厳選した。
捨てるのには勇気がいったが、全ては持っていけなかったのだ、バックも靴も本当に必要な物だけを選んで準備をした。
住んでいたマンションは孫の健司に譲った。
ちょうど結婚しようと思っている頃だったので、子供ができると手狭だが二部屋ある。
分譲なので家賃はいらないが、管理費や駐車場代に固定資産税が必要になる。
2部屋の個室は広く三畳の納戸もついているので、子供が二人位できても大丈夫な広さはある。
健司のすんでいたマンションの家主は結局海外赴任で海外に行ってから、九年たった今も帰ってくるめどはたっていないらしい。
健司はいつも加奈子のそばにいてくれて嫌な顔をせずにいつでも加奈子の足になってくれていた。
優しい孫で一番最初の孫なので加奈子も健司が可愛かった。
健司がマンションを買うときの為にコツコツ健司名義で貯めていたお金は、通帳とハンコと共に健司に渡した。
ここから贈与税を支払いなさいと言って…でもこれは皆には内緒ねと念を押しておいた。
健司が今まで嫌な顔もせずに、色んな所に出かける加奈子の足になってくれていた事のお礼だと言うと、そんなこと当然だし却って申し訳ないと言う健司に、大人になったなあと嬉しく思ったが、彼も三十歳になったのだ。
そんな事も言えるくらいの歳なのだと感慨深かった。