その青は廻る
3章 明日へ
もはや、自分がどこに居るのか、足はちゃんと付いているかと、つい確認してしまう。歯を磨くときの洗面所や、メイクをするときに使った鏡。狭い部屋の中をうろつきながら、あげくの果てには、携帯に映る顔まで見ている。時間は午前8時前。思った以上の早起きで、眠れていたのかすら分からない。
深呼吸をしながら、テーブルを前にして、鞄を手繰り寄せる。そこから、中身を一つずつ手にして、テーブルの上に置く。昨日とさほど変わりはないが、見慣れたキーホルダーには、家の鍵とは別の鍵が付いていた。
そこで、ようやく昨日のことを思い浮かべた。あれから家に着くまで、彼の話を耳にしていたが、その内容もあまり把握できていない。けれど、今日は会議のようなものがあって、お昼頃にスタジオへ行くと、言っていた気がする。
つまり、今日は送迎がない。胸を撫で下ろしたものの、すぐに頭を振った。彼に渡されるがまま、スタジオの鍵を手にしたけれど、それを使うことが、少し不安になった。勝手に使ってもいいと言われているけれど、やはり気が引ける。
そこから、どこへ行こうか、何をしようか悩み始める。買い物をするには早すぎるし、部屋の中を片付けるにも、あまり手を付けるところがない。困り果てたところで、チャイムが鳴って、何も考えずにドアを開けた。
「稔イーツでーす」陽気な声で、煙草をくわえながら、コンビニの袋を見せてくる。
「……どうぞ。煙草消して、吸うなら換気扇の下」一語ずつ区切るように言って、部屋へ戻り、元の位置へ座り直す。
「はいはい、うるせぇーな、ほんとに」そう言いながら、テーブルの上へプリンを置いて、煙草を携帯灰皿の中へ入れた。
「ありがと……。何か飲む?」と腰を上げると、「いい、買ってきた」そう言ってから、テーブルの上に缶コーヒーとジュースと、青と白の煙草の箱を置いた。昨日、渡したものが戻ってきたような気がした。
すると、稔が「それで?」とスプーンを出し、缶コーヒーを開けると、「推しには会えた?」からかうような声で、笑っていた。
「まぁ……」そう返すと、「良かったじゃん」と言いながら、おもむろに立って、部屋の中を見て歩いていく。そこから、換気扇の前で足を止めると、「紹介した甲斐があったわ。これで、夜しか眠れなくなりそ」とおどけて、煙草を口にすると、火を点けた。
「いや、寝てるんかい」プリンを口へ運びながら、ふと手を止めて「感謝してる、ありがと」と言ったあとで、「今度、奢る」と返した。
「別にいいよ。こないだ佐伯さんに、たっけぇ焼肉奢ってもらったし」まるで今しがた食べてきたと言わんばかりの態度で、長く息を吐き出した。
深呼吸をしながら、テーブルを前にして、鞄を手繰り寄せる。そこから、中身を一つずつ手にして、テーブルの上に置く。昨日とさほど変わりはないが、見慣れたキーホルダーには、家の鍵とは別の鍵が付いていた。
そこで、ようやく昨日のことを思い浮かべた。あれから家に着くまで、彼の話を耳にしていたが、その内容もあまり把握できていない。けれど、今日は会議のようなものがあって、お昼頃にスタジオへ行くと、言っていた気がする。
つまり、今日は送迎がない。胸を撫で下ろしたものの、すぐに頭を振った。彼に渡されるがまま、スタジオの鍵を手にしたけれど、それを使うことが、少し不安になった。勝手に使ってもいいと言われているけれど、やはり気が引ける。
そこから、どこへ行こうか、何をしようか悩み始める。買い物をするには早すぎるし、部屋の中を片付けるにも、あまり手を付けるところがない。困り果てたところで、チャイムが鳴って、何も考えずにドアを開けた。
「稔イーツでーす」陽気な声で、煙草をくわえながら、コンビニの袋を見せてくる。
「……どうぞ。煙草消して、吸うなら換気扇の下」一語ずつ区切るように言って、部屋へ戻り、元の位置へ座り直す。
「はいはい、うるせぇーな、ほんとに」そう言いながら、テーブルの上へプリンを置いて、煙草を携帯灰皿の中へ入れた。
「ありがと……。何か飲む?」と腰を上げると、「いい、買ってきた」そう言ってから、テーブルの上に缶コーヒーとジュースと、青と白の煙草の箱を置いた。昨日、渡したものが戻ってきたような気がした。
すると、稔が「それで?」とスプーンを出し、缶コーヒーを開けると、「推しには会えた?」からかうような声で、笑っていた。
「まぁ……」そう返すと、「良かったじゃん」と言いながら、おもむろに立って、部屋の中を見て歩いていく。そこから、換気扇の前で足を止めると、「紹介した甲斐があったわ。これで、夜しか眠れなくなりそ」とおどけて、煙草を口にすると、火を点けた。
「いや、寝てるんかい」プリンを口へ運びながら、ふと手を止めて「感謝してる、ありがと」と言ったあとで、「今度、奢る」と返した。
「別にいいよ。こないだ佐伯さんに、たっけぇ焼肉奢ってもらったし」まるで今しがた食べてきたと言わんばかりの態度で、長く息を吐き出した。