【偽】カップルですが、本当の恋を教えてください
「桃祢ぇ」
「ん・・・?」
沈んでいると、葛が緩い声で棒付きキャンディを舐めながら隣に来る。
なんだろう・・・?葛も察してしまったのか。
「見てこれ。『桃祢ちゃん、めっちゃ演奏に集中してる。真面目で可愛い。好き』だって」
「なぁにそれ、嬉しぃ~」
「いでっ!・・・っおい、叩くなよ緋雁!」
葛が見せてくれたコメントは誉め言葉だったので素直に喜ぶと、何故か緋雁が葛を引っぱたいた。
え、えぇぇ・・・なんで叩いちゃうの。
「他の男に可愛いとか好きとか言われて欲しくない・・・」
・・・えっ?
「おまっ・・・アイドルじゃねぇんだよ、ムスッとした顔しても可愛くねぇぞ。26歳男のスネ顔とか地獄かよ」
容赦なくボロクソに言われる緋雁を見ると、確かに口をキュッと結んでムスッとしている。
ど、どうしたんだろう・・・言われて欲しくないって、どういうこと?
・・・はっ、まさか・・・私、褒めたら増長するタイプだと思われてる・・・⁉
「まじで見苦しい。桃祢、あっち行こ」
「あ、う、うん・・・」
そんな2人に呆れたらしい珀が立ち上がって私の手を取り、珀の部屋へと歩き出す。
チラリと緋雁を見ると途中までこちらを睨んでいたものの、珀が緋雁を見ると急にニコニコになった。
すごい・・・目で会話してる・・・!
私はもう小学校くらいから誰とも仲良くできなかったし、緋雁と珀みたいな関係には憧れるなぁ・・・。

「座って」
「うん。・・・なんか話したいことでもあるの?」
珀が誰かを部屋に入れるところは見たことがない。
私ももちろん初めて入るけど・・・シックで落ち着いた部屋だ。
「・・・緋雁のこと、どー思ってんの?」
「え?緋雁?・・・うーん、大好きだよ」
どう思ってる、というのは好きか嫌いか、ということだろうか。
もちろんメンバー全員大好きだけど・・・急にどうしたんだろう?
「恋愛的には?」
「っれ⁉恋愛的に・・・⁉あ、あの・・・『カップルデュエット』は嘘だよ・・・?」
「わかってる。・・・恋愛対象になりうる?」
・・・恋愛対象。私にとって、緋雁が・・・?
私には明確な男性な好みはないけど、緋雁は・・・うーん・・・。

「・・・可能性は0ではない、かも・・・?」
誰を好きになるかなんて今の私には分からないし、もしかしたらメンバーのことを突然好きになっちゃったりは・・・するかも?
でも・・・本当にメンバー間で恋愛関係になったら、全員に迷惑が掛かっちゃうからなぁ。

「そっか。・・・ちょっとは意識してやってよ、あいつのこと」

「あいつ・・・?って緋雁のこと?意識って」
「さ、2人のこと止めてきてよ桃祢ちゃん」
えぇ・・・もしかしてまた珀までおかしくなっちゃった?
2人のことは止めに行くけどさぁ・・・!
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