【偽】カップルですが、本当の恋を教えてください
♡───────────────────────♡

「おかえり。・・・あれ?」
「緋雁、お前まさか・・・」
2人で帰ると、出迎えてくれた珀と葛が目を見開いて、慌てたように緋雁に駆け寄った。
ひどく心配そうだけど・・・どうかしたのかな・・・?
衣装は汚れてないはず、だけど・・・私を横抱きにしたときに、飾りに引っ掛かっちゃたかな?
「・・・いくらでも話は聞いてやるからな。元気出せとは言わないよ」
「はぁ?」
「緋雁・・・大丈夫だ、まだチャンスはある。諦めるなよ」
「はぁぁ?なに言ってんの?」
あれ、緋雁も2人が言いたいことは分かってないみたい。
チラチラと私を見ては緋雁の背中をさする2人だけど・・・。
「・・・失敗、したんだろ?」
「笑顔の練習は付き合ってやるよ」
「あとでキャラメルラテ買ってやる」
「だからなに?失敗って」
心が通じ合ってる珀と葛は、気の毒そうな表情で・・・緋雁を慰めようとしてる?
・・・にしても失敗ってなんだろう?
「ほら・・・桃祢、指輪してねぇじゃん。急ぎすぎたか?」
「断られたんだろ?振られたんだろ?お前あんなに好きだったのにさぁ・・・」
・・・あ、勘違いしてるよこの2人。
「失敗してないって!・・・ごめん桃祢、嬉しすぎて指輪渡してなかった」
「ううん、私も今気づいた。2人とも緋雁のこと心配だったんだね」
たしかにプロポーズされて抱きついて・・・そのまま帰ってきちゃった。
改めて、もう一度指輪を取り出した緋雁が、恭しく私の手を取ってそれを指にはめてくれる。
シンプルだけどオシャレな銀の指輪は、光にかざすとキラキラと輝いた。
「なぁんだ、成功してたんかキャラメルラテの話はなしな」
「心配させやがって。衣装直して戻るぞ」
「それは買ってくれてもいいだろ。成功したらなんか冷たくない?」
やっぱり、2人とも緋雁のこと心配してたんだ。
でも逆に、ここで大きくお祝いされても恥ずかしかったから、2人の‟いつも通り”の反応は私にとって、結構助かるものだ。
「指輪はつけたままでいい?」
「ファンならすぐ気づきそう」
「すぐに結構報告するんだしいいでしょ」
「婚約(●●)発表な」
そうだね、まだ籍は入れてないから、するとしても婚約発表だね。
でも早く発表したいって思ってくれてるのは、嬉しいかも・・・。
結婚も、しようがしまいが変わることはあまりないと思うけど・・・。
「とにかく2人は幸せオーラ全開でいてくれたらいいよ」
「任せて」
「なんかムカつくなその返事」
なんて言いながら、珀も葛も自分事のように喜んでくれて。
珀は少し揶揄いながら、『いい旦那になるよ』と笑っていた。
そしてそんな時、バンっと楽屋の扉が開いて・・・。
「もー!どこ行ってたんだよ!」
「え?・・・珀」
はぁはぁと肩で息をするしののんが入ってきた。
「2人に訊いてもはぐらかされたの!このあとまだ出番!」
「お邪魔しちゃうかなって」
どうやら私と緋雁を探していたんだけど、珀と葛は私たちの居場所を教えなかったらしい。
うーん・・・その配慮に感謝すべきか、走り回ってたらしいしののんに謝るべきか。
「ごめんね聖(せい)ちゃん、桃祢にプロポーズしてた」
「プロポーズしてたのか、OKされたよな?よし、行こう」
「反応薄くない?」
もしかして、しののんも察してたのかな?
『お腹痛くてトイレ行ってた』って言われた時の反応くらい軽かったけど。
「まぁいいんじゃない?アイドルじゃあるまいし」
あっけらかんと言い、しののんはスタイリストさんを呼んでくれる。
メイクも少し直してもらい、私たちはもう一度レッドカーペットに戻った。
< 48 / 52 >

この作品をシェア

pagetop