経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 更には四人が持ってきた素材が不十分なら補完しなければならない。再度依頼する為にも伝える言葉を考えなければならない。司を支えたいと思っても、満足に仕事ができない自分達は力不足だと認めざるを得なかった。なにせ初めてだから上手くいかないことも見当違いも多い。他部署との調整も上手くいかない。そんな経験は、余計に司の凄さを際立たせる。

 けれど司は、未熟な仕事に不満や怒りを見せることは決してなかった。上でも下でもない。それぞれの役割を徹底していた。その結果、何が起こったか。

 本当なら、無知なまま動く四人は精神的負荷がかなり大きい筈だった。何を聞けばいい? どこに行けばいい? どう纏めればいい? これで合ってる? 焦りや重圧も足を重くする。けれど、それ以上に強い感情が四人を動かしていた。最年少があれだけ身を削っているのに自分達が立ち止まる訳にはいかない。その一心で四人は走り続けた。

 こんなことをしていたら司の手足でなければ動けなくなる。と思った気持ちは、すぐに別のものへ変わった。実際には、この作業は彼等の能力を飛躍的に底上げした。情報の重要度を判断する力、部署間調整力、事業構造の理解、財務の基礎理解、分析の型、ストーリーの組み立て方。

 そして司の依頼もそれを後押しした。司はこの情報を持ってきて欲しいとは言わない。ここに使う為の、これを裏付ける為の、ここを補填する為の、そういうデータが欲しいと投げてきた。それを成す為には考えて、聞いて、調べて、理解して、深掘りして自分で作り上げるしかない。小間使いのように使われるという想像は、良い意味で裏切られた。
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