経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
「あらーーーー。上野さん。お久し振りですぅーーーーーー」

 来ると分かっていた癖に、待ち合わせの場所で舞は白々しくそう言った。楽しそうに笑ってるけれど目が怖い。

「…お久し振りです」

 無駄に伸びる声に絡まれつつ、司は小さな声で呟いた。ここはもう無条件降伏するしかない。

「いつもうちの綾がお世話になってーーー。あ、間違えた。綾がお世話してますーー。本当に、物凄く。ねーーーーーー?」

「……本当に、お世話になってます…」

 時価総額数千億を動かした男が、こんなにも情けないご挨拶をするだなんて、一体誰が想像するだろうか。でもそんな事は舞には関係ないし知る由も無いのである。そして司にも綾音にも関係ない。やっちまった落とし前はつけて当然なのである。

「じゃ、行こっかー。個室予約したからお楽しみに! そこで全部吐いて貰うぞこら」

「…可能な限り応じます」

 宜しい。と、頷く舞と項垂れる司の間で、綾音はおろおろと二人を見ていた。
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