夏の灯と硝子の空蝉
8月15日。
夏休みも、後半に入った頃。
俺は毎日のように、灯に外に連れ出されていた。
俺が住んでいる街は、三重県のド田舎。
住民は知り合いばっかり、のような小さな街だ。
自然が溢れていて、綺麗だと思う。
「はよ行こや、凪!場所取られてまう!」
「早々取られんやろ、あんな場所……、」
この元気な女の名前は、浜辺 灯(はまべ あかり)。
俺の幼馴染だ。
日に焼けた健康そうな小麦色の肌。
黒く艷やかな黒髪は、いつもポニーテール。
少し大きい黒い瞳に、形のよい唇。
美少女、ではないけれど。
愛嬌のある顔立ちをしている。
…そのくせに、何故か男勝り。
……というか、ガキっぽい。
夏休みに、周りの女子と言ったら
遠いところにあるショッピングモールに買い物に行ったり
わざわざ遠出してスイーツを食べたり
友達の家で雑談したり
そんなことをしているイメージだ。
なのに、灯はそんなことを全然しない。
やることと言えば、
大自然の中で虫採り。主に蝉。
海で泳ぐ。可愛さのカケラもないスクール水着で。
釣りをする。おじさんと一緒に。
俺よりも、男っぽいことばかりしている。
「凪はなよなよしとるよなぁ〜、もっとシャンとしいや!」
「お前が男勝り過ぎるだけやに。も少し可愛げ出したらどうや」
「なっ、私は可愛いに決まっとるやろ!!」
軽口を叩き合いながら、目的の地へ向かう。

