弁護士さん、恋愛の仕方がわかりません

プロローグ

夜、22時。

この時間になると、コンビニには決まった顔ぶれが来店するようになる。

仕事終わりのくたびれたスーツのおじさん。
アルバイト終わりのフリーターのお兄さん。

そして──あの人。

ピロリン、と自動ドアの開くメロディが流れる。

──来た!

お高そうな落ち着いたスーツ。
どこかのブランドの黒いブリーフケース。
すっきりした顔立ちに似合うシルバーの眼鏡。
少しゆったりと七三に分けられた短めの黒髪。

背筋をピン、と伸ばしてレジ前を通り、向かうのは栄養ドリンクが並ぶコーナー。その後は迷わずカップ麺。

いつもと同じ。
何一つ変わらない彼のルーティーン。

レジにやって来て、商品を置いて。
ICカードを取り出す姿も、いつもと同じ。

──だと、思ったけれど。

私、田中みよ(たなかみよ)。23歳。
伊達にコンビニ店員を3年もやっていない。
それに、高校時代は持ち前の面倒見の良さと、このぽっちゃり体型で「お母さん」という異名を獲得した根っからのお節介焼きだ。

彼は──とんでもなく疲れている。
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