弁護士さん、恋愛の仕方がわかりません
動きはキビキビ。
レジの前に来ても背筋はしっかり伸びているけれど。

ネイビーのスーツは少しヨレている。
黒いブリーフケースのチャックは半分開き。
眼鏡の奥の細めの瞳は少し呆けていて。
分けられた前髪は眼鏡にかかっていた。

いつだってキッチリだった彼がくたびれている。

「いらっしゃいませ、商品お預かりいたします」

私はいつも通り栄養ドリンクとカップ麺をスキャンし、求められた一番小さなビニール袋に入れる。

そして、チラッとレジカウンターの下を見た。

あとで食べようと思っていた苺大福。
それをそっと、袋の一番上に入れた。

「あの、それは…」
「疲れたときは甘いものがいいんですよ。お嫌いじゃなければ食べてください」

袋の取っ手を軽くねじり、差し出す。

すると彼は少しだけ考えてから「ありがとうございます」と小さく頭を下げて、受け取ってくれた。

「ありがとうございました、またお越しください」

真っ直ぐ伸びる背中に声をかける。

彼は立ち止まって振り返り、もう一度頭を下げてから帰っていった。

──人に優しくすると必ず自分にも返ってくる。

おばあちゃん。
ちょっとお節介だったかもしれないけれど、今日も一つ誰かに優しさを渡せたと思うよ──。
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