S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
そんなことを繰り返していたせいか、紗夜の不安はさらに大きく膨れ上がり、徐々に『あのとき聞いてしまった和季の気持ちは、すべて彼の本心なのだ』と理解するようになった。
本当は和季の口から直接話を聞きたいのに、こうなるとどう聞いていいのかもわからない。
もう終わりなんだろうな――そう感じ始めた矢先の金曜日、和季からプライベートの呼び出しメッセージが入った。
火曜日と水曜日はささやかなメッセージのやりとりをしたが、木曜日はまた一切連絡がなかったので、紗夜も薄々察してはいた。
それでも紗夜は、彼の求めに応じることに決める。
「ごめんな、紗夜。会社から直に来てもらって」
「……いえ」
この数か月で何度か訪れていた和季のマンションへ足を運ぶと、彼が玄関先で紗夜を出迎えてくれた。
いつものように靴を脱いで手を洗う紗夜の背後で、和季が「泊まる準備してから来てもよかったんだぞ?」と笑いながら声をかけてくる。だが紗夜は、その軽口に黙り込むことしかできない。
和季に導かれてリビングのソファに腰を下ろすと、隣に座った和季がじっと顔を覗き込んでくる。
彼の匂いと声を感じるとどうしようもなくときめいてしまうが、和季が呟いた最初の一言で、紗夜の意識は一気に現実へ引き戻された。