S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

「え……? さ……紗夜……?」
「……もう、お別れしましょう」

 もちろんこれは、本心ではない。

 だが和季に残酷な事実を突きつけられたくない、彼の口から終わりの言葉を聞きたくない、と強く感じたせいか、紗夜の口は思ったよりもなめらかに動いていた。

「和季さんのお話も、同じですよね?」
「は? いや、そんなわけ……っていうか、なん……。……は!?」

 紗夜の問いかけを聞いた和季は反射的に否定の言葉を口にしかけたが、その前の宣言がよほど予想外だったらしく、またすぐに驚きの声を発して固まってしまう。

 とはいえ、さすがに頭の回転と切り替えが早い。どうやら和季は、意図は分からずとも紗夜の主張そのものはすぐに理解してくれたらしく、はぁー……と深いため息を零した。

「嫌に決まってるだろ」
「……え?」
「俺は、別れるつもりはない」
「!?」

 和季が口にしたのは思いもよらない宣言だった。予想外の主張に驚いた紗夜は、俯いていた顔を上げて、和季の整った顔面を凝視してしまう。

(なにを……言ってるの……?)

 紗夜から別れを切り出したことに多少の驚きがあったとしても、互いの希望が同じなら、てっきり「わかった」と口にして話はすぐに終わると思っていた。

 だが実際の和季の主張は紗夜の想像と真逆で、了承どころか真っ向から拒否してくるのだ。

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