S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
「できるだけ早く開始できるように、って人事と総務と営業で協力して、たった半年で体制整えたのよ。すごくない?」
「す、すごい……」
アンケートが行われたのは去年の十二月のことだ。そのときの和季はまだ人事部に所属していたので、今とはまったく違う業務に携わっていたはずだ。
にもかかわらず、普段の仕事をこなしながら別の部署とも連携を取り、おそらく元々は取引のなかった企業に新たな業務提携をもちかけ、その結果をできるだけ早く社員に還元できるように、と水面下で準備を進めてきたのだろう。
結果、就任からわずか三か月で『社員が希望する福利厚生を提供する』という目標を達成したという。
「社員のことを考えてくれる人が役員になってくれるの、ほんと助かる」
莉乃が感心したように頷くので、紗夜もつられて「そうだね」と頷く。
常務の主な仕事は社長や副社長の補佐だが、それと同時に、実際に業務を行っている現場や各部門との連携・調整にも関わっているらしい。ゆえにルミリュクスの取締役の中では比較的社員との距離が近いため、現場の声を拾いやすいのだろう。
そして和季は拾った声をできるだけ早く反映することで、現場の状況や職場環境を改善しようと働きかけてくれる。
この分だと彼が就任時の挨拶で掲げていた『社員の給与のベースアップ』もあっという間に達成してしまいそうだ。