マッチングした相手は片想いの社長でした

第12話 俺は那奈を信じてる

「最近、黒瀬と仲いいな」

春樹さんの低い声が、静かな会議室に落ちた。

私は春樹さんの腕の中で固まってしまった。

黒瀬――涼太君。

確かに最近、一緒にいることが多い。

残業を手伝ってもらって、ハンバーガーを食べて、映画まで観てしまった。

しかも昨夜は、家まで送ってもらって――額にキスされた。

思い出しただけで、胸の奥がざわつく。

どうしよう。

春樹さんに言った方がいいのかな。

「春樹さん……」

困ったまま名前を呼ぶと、春樹さんが私の顔を覗き込んだ。

ところが次の瞬間。

「ふっ」

春樹さんが笑った。

「え?」

「何、本気で困ってるの」

「だって……」

てっきり嫉妬しているのだと思った。

怒っているのかもしれないとさえ思ったのに。
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