マッチングした相手は片想いの社長でした
「今日は金曜日だよ」

「あっ」

そうだった。

このところ仕事が忙しくて、曜日の感覚までなくなっていた。

春樹さんの口元が少し上がる。

「那奈を補充する日」

「……っ」

そんなことを真顔で言うなんてずるい。

「それ、何なの?」

「そのままの意味」

「意味分かんない」

「分からなくていいよ」

春樹さんが私の頬へ顔を寄せる。

ちゅっ。柔らかな感触が頬に触れた。

「いいね」

「……うん」

結局、断れるはずもない。

私たちは一緒に会議室を出た。

その時だった。

少し離れた場所に涼太君がいたことに、私は気づかなかった。

仕事へ戻ってみると、現実はそう簡単ではなかった。

「どうしよう……終わらない」

残業禁止と言われたのに。
< 113 / 295 >

この作品をシェア

pagetop