マッチングした相手は片想いの社長でした
今日中に仕上げたい資料が、まだ残っている。

時計を見る。

春樹さんとの約束の時間が近づいている。

「那奈」

「涼太君」

ふいに隣の椅子が引かれ、涼太君が座った。

「今日、デートなんだろう」

「え?」

思わず涼太君を見る。

どうして知っているの?

涼太君は顎でオフィスの外を示した。

「外で社長が待ってる」

「えっ」

慌てて時計を見る。もうこんな時間。

春樹さんはエレベーターの前で待っているらしい。

「行けよ。後は俺がやるから」

「でも……」

これは私の仕事だ。

いくら同期だからって、涼太君に押しつけてデートへ行くなんて。

「社長を待たせるなよ」

涼太君がいつものように笑った。

その笑顔に背中を押され、私は立ち上がる。
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