マッチングした相手は片想いの社長でした
忘れようと決めたばかりなのに。

「行くぞ」

「あ……はい」

結局、私は断れなかった。

会社を出ると、夜風が火照った頬に気持ちよかった。

「食べたい物あるか?」

隣を歩く社長に聞かれ、私は少し考える。

「焼肉ですかね」

「焼肉?」

「あっ、いえ。無理にではなくて」

しまった。

社長と食事なんだから、もっとおしゃれなものを言えばよかった。

フレンチとかイタリアンとか。

よりによって焼肉って。

焦る私とは対照的に、社長は楽しそうに笑った。

「俺も食べたい。付き合ってくれ」

「はい」

嬉しい。そんな些細なことで頬が緩んでしまう。

「ああ、あそこにあるな」

社長が指差した先を見て、私は目を丸くした。
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