マッチングした相手は片想いの社長でした
「行こう、那奈」

「うん」

映画館では隣同士の席に座った。

今度こそちゃんと観よう。

そう思っていたのに。

途中で春樹さんの視線を感じて、横を見る。

目が合った。

スクリーンでは恋人たちが何かを話している。

でも、内容が頭に入ってこない。

春樹さんが少しだけ顔を近づけた。

私も目を閉じる。

暗い映画館の中で、そっと唇が重なった。

……これじゃあ、また映画の内容を覚えられないかもしれない。

上映が終わって映画館を出る。

すっかり暗くなった街を二人で歩いていると、春樹さんが突然聞いてきた。

「後は黒瀬と何したの」

「え?」

涼太君とのこと忘れてなかったんだ。

春樹さんが私の耳元へ顔を寄せる。

「こら、白状しろ」
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