マッチングした相手は片想いの社長でした

第15話 波乱の出張

新幹線を降りて取引先のビルに着いた頃には、朝から感じていた緊張が少しだけ強くなっていた。

今日の目的は、新しいサービスの提案。

事前に何度も資料を確認してきたし、涼太君とも打ち合わせを重ねてきた。

それでも、実際に取引先を前にするとやっぱり緊張する。

「行こうか、那奈」

「うん」

隣を見ると、涼太君はいつもと変わらない。

同期として長く一緒に働いてきたけれど、こうして二人だけで出張するのは初めてだった。

受付を済ませると、先方の社員の方が迎えに来てくれた。

「わざわざすみません」

申し訳なさそうに頭を下げる相手に、涼太君はすぐに笑顔を見せる。

「いいえ。お顔を見て安心しました」

その言葉に、相手の表情がふっと和らいだ。

こういうところ、涼太君は上手だ。
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