マッチングした相手は片想いの社長でした
「でも、まだ仕事が残っていて」

「明日にすればいい」

「でも……」

私は手を止め、春樹さんを見た。

「私、仕事をおろそかにしたくないです」

春樹さんの表情が変わる。

「那奈……」

「秘書の仕事も頑張ります。でも、今までの仕事だって中途半端にしたくありません」

せっかく任せてもらった仕事だから。

恋人だから秘書にしてもらったなんて、周囲にも思われたくない。

何より――春樹さんにそう思われたくなかった。

「ちゃんと仕事のできる秘書になります」

そう言った瞬間。

背中から、また腕が回ってきた。

「春樹さん……?」

「君は本当に真面目だな」

抱きしめる腕が優しい。

「だから好きになったんだけど」

胸がきゅっとなる。
< 167 / 295 >

この作品をシェア

pagetop