マッチングした相手は片想いの社長でした
それが嬉しかった。

「じゃあ、先に帰ってるね」

「ああ」

バッグを肩に掛け、私は出口へ向かう。

扉の前で一度だけ振り返った。

春樹さんはもう資料に目を戻している。

会社では社長と秘書。

家に帰れば恋人同士。

――そして今日から。

帰る場所まで同じ。

「お先に」

小さく笑って、私はオフィスを出た。

――那奈。

それだけでいい。

仕事も頑張りたい。

春樹さんの側にもいたい。

どちらも欲張っていいんだ。

だって私はもう、一人で頑張っているんじゃない。

私には春樹さんがいて。

春樹さんには、私がいるのだから。
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