マッチングした相手は片想いの社長でした
だから春太君が生まれた。

「そして春太が産まれた」

「うん」

少し離れたところで春太君が楽しそうに動物を見ている。

春樹さんはその小さな背中をじっと見つめた。

「俺は春太を認知しようと思う」

「春樹……」

「それが春太にできることだ」

香織さんの目に涙が浮かんだ。

そして思わず春樹さんを抱きしめた。

「ありがとう、春樹」

「礼を言うのは俺だ」

春樹さんは静かに香織さんを離すと、その額にそっとキスをした。

「春太を産んでくれてありがとう」

それは恋人に戻るためのキスではなかった。

五年間、一人で自分の子供を育ててくれた女性への感謝だった。

――その日の夕方。

「ただいま」

玄関から春樹さんの声がした。
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