マッチングした相手は片想いの社長でした
「春樹はいい父親ね」

その言葉を残して、香織さんは去っていった。

私はその場からしばらく動けなかった。

――香織さんの家に行く。

もちろん、春太君に会うため。

分かっている。

それでも胸の中に黒いものが広がっていく。

もし三人で一緒にいるところを見たら、きっと本当の家族にしか見えない。

香織さんと春太君と春樹さん。

そこに私はいない。

「……嫌だな」

仕事中なのに、こんなことばかり考えている。

気持ちを落ち着かせたくて、私は備品を取りに倉庫へ向かった。

誰もいない倉庫。

棚から必要なものを探しながら、またため息が出る。

「元気ない顔」

聞き慣れた声に振り返った。

「春樹さん」

いつの間に来たのだろう。
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