マッチングした相手は片想いの社長でした
本当にそうならいい。

誰かを好きになることで、不安になるだけじゃなく、強くなれたなら。

午後。

資料を抱えて廊下を歩いていると、向こうから香織さんがやってきた。

相変わらず綺麗な人だ。

黒いショートヘアに紺色のスーツ。

同じ女性なのに、思わず見とれてしまいそうになるほど大人の色気がある。

「お疲れ様です」

「お疲れ様」

香織さんは微笑み、そのまますれ違う。

けれど数歩進んだところで、呼び止められた。

「ああ、そうそう」

「はい」

振り返る。

「今度、春樹と私の家で会うわ」

「え?」

思わず声が出た。

香織さんは何でもないことのように続ける。

「春太が会いたいって」

「そうなんですか」
< 223 / 295 >

この作品をシェア

pagetop