マッチングした相手は片想いの社長でした
もう責める気持ちはなかった。

すると香織は、どこか寂しそうに微笑んだ。

「あの時の愛の証が、春太よ」

春樹の胸が締めつけられる。

確かに、自分は香織を愛していた。

「確かに俺は愛を注いだ」

「本当に熱かった」

香織が懐かしむように目を細める。

「我慢できなかったんだ」

あの頃は、香織が自分のすべてだった。

仕事よりも何よりも、彼女を失うことが怖かった。

香織がそっと春樹を見つめる。

「愛して。あの時みたいに」

その言葉に、春樹はしばらく何も答えなかった。

目の前にいるのは、かつて心の底から愛した女性だ。

別れたあとも忘れられなかった。

もし再会がもう少し早ければ。

もし那奈と出会っていなければ。

違う答えを出していたのかもしれない。
< 232 / 295 >

この作品をシェア

pagetop