マッチングした相手は片想いの社長でした
「本当に愛してた。香織」

「ねえ、キスして」

春樹は香織の頬に触れた。

そして唇ではなく、額にそっと口づける。

懐かしさを抱きしめるような、静かなキスだった。

そのまま春樹は身体を起こした。

「春樹?」

「那奈を裏切りたくないんだ」

香織の表情が止まった。

春樹は迷わなかった。

「大切なんだ。那奈が」

「……そんなに?」

「ああ。那奈は俺を支えてくれた」

会社を背負う重圧も、父の代からいる役員たちとの軋轢も、誰にも弱音を吐けない孤独も。

那奈だけは、肩書きではなく一人の男として春樹を見てくれた。

何も求めず、ただ隣にいてくれた。

だから春樹は、もう自分の気持ちを知っている。

「これからは那奈と生きたい」

しばらく沈黙したあと、香織は小さく息を吐いた。
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