マッチングした相手は片想いの社長でした
聞きたいことはいくらでもあった。

でも、聞くのが怖かった。

そして春樹さんの表情がゆっくりとほどけた。

私の手を取り、指を絡める。

「那奈だけだ。俺が欲しいのは」

胸が大きく鳴った。

「私も春樹さんだけ」

額と額が触れた。

近すぎて、春樹さんの瞳の中に自分が映っている。

もう怖くなかった。

香織さんとの過去は消えない。

春太君のことだって、これからいろいろあると思う。

でも春樹さんは帰ってきた。

私のところへ。

それだけで十分だった。

数日後。

会社に来れば、私たちはいつもの社長と秘書に戻る。

「水野、稟議書だ」

「はい」

差し出された書類を受け取る。

二人きりのときは那奈と呼ぶくせに、会社ではきっちり水野。
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