マッチングした相手は片想いの社長でした
「そりゃするよ。那奈のお父さんだからな」

その言葉が嬉しかった。

車を降り、二人で工場の中へ入る。

父は機械の前にいた。

「お父さん」

父が振り返る。

「なんだ、那奈か」

「話があるって言ったでしょ」

父の視線が私の後ろへ移った。

春樹さんを見た瞬間、眉間に皺が寄る。

「用件はなんだ」

春樹さんが一歩前へ出た。

「初めまして。一ノ瀬春樹と言います」

父は春樹さんを上から下まで見る。

「誰だ? 彼氏か?」

「那奈さんとの結婚の承諾に……」

「結婚?」

工場の空気が、一瞬止まったように感じた。

春樹さんは父から目を逸らさない。

「那奈さんと結婚させてください」
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