マッチングした相手は片想いの社長でした
「へえ、職人なんだ」

「うん。ずっとね」

小さい頃から、父の手は硬かった。

油の匂いが染みついていて、何度洗っても落ちない傷があった。

口数が少なくて、不器用で、頑固。

でも仕事には誰より真面目だった。

「春樹さんの事、追い返さなきゃいいけど」

半分冗談のつもりだった。

――まさか、本当にそうなるなんて、その時の私は思っていなかった。

数日後。

春樹さんの車が水野製作所の前に止まった。

見慣れた町工場。

いつもと同じ機械の音が聞こえてくる。

「緊張する?」

「少しな」

意外な答えに、私は春樹さんを見た。

何百人もの社員の前でも堂々としている人なのに。

取締役たちを相手にしても怯まない人なのに。

「春樹さんでも緊張するんだ」
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