マッチングした相手は片想いの社長でした
それを初めて聞いた時、私は一人で笑ってしまった。

「今日もお邪魔します」

「あんたも好きだな」

「大変参考になります」

父もまんざらではなさそうだった。

その日、二人はまた仕事の話をしていた。

「親父さんは何してる人だ」

「父も一ノ瀬グループの代表でした」

「なんだ、坊ちゃんか」

「はい。御曹司です」

春樹さんはあっさり認めた。

父は呆れたような顔をした。

「御曹司なら理解できねえだろ」

何を、とは言わなかった。

現場で働く人間の苦労。

汗を流して、一個一個の製品と向き合う仕事。

きっと、そういうことだ。

でも春樹さんは静かに話し始めた。

「親父は俺が高校生になると、取引先を一緒に回らせました」
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