マッチングした相手は片想いの社長でした
「春樹さん、お父さんと仕事の話ばっかりしてたんでしょ?」

「ああ」

「結婚の話は?」

「してない」

「どうして?」

春樹さんは当然のように言った。

「まず俺のことを知ってもらわないとな」

その言葉に、胸が熱くなった。

父を説得するんじゃない。

自分を認めさせようとするんでもない。

知ってもらおうとしている。

春樹さんという一人の人間を。

私は春樹さんを見つめた。

春樹さんも私を見つめ返す。

――この人を好きになってよかった。

心からそう思った。

それから春樹さんは、本当に何度も水野製作所へ通った。

「お父さん」

「ああ、春樹君」

いつの間にか父の呼び方まで変わっていた。

「あんた」だったのに。

春樹君。
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