マッチングした相手は片想いの社長でした
でも違った。

私を渡したくなかったんじゃない。

私がこれから先、ちゃんと幸せになれるのか。

それだけが心配だったんだ。

春樹さんは父をまっすぐ見つめていた。

そして、静かに答えた。

「我慢する前に俺が気付いてやります」

その言葉が胸の奥まで届いた。

春樹さんなら、本当にそうしてくれる。

私が大丈夫と言っても。

笑って誤魔化しても。

きっと私の顔を覗き込んで、「本当に?」って聞いてくれる。

私はもう、工場の入り口に隠れていられなかった。

一歩、中へ入る。

「……お父さん」

父が振り返った。

私の顔を見て、少しだけ困ったような顔をする。

私の頬にも、父の頬にも涙があった。

ずっと言葉にしなかった父の愛情を、私はようやく知った。

そしてその父の前には、私が一生を一緒に歩きたいと願った人がいる。

――大丈夫だよ、お父さん。

私はもう、一人で我慢しなくていいんだね。
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