マッチングした相手は片想いの社長でした
「社長、婚約者がいるんですって」

「え?」

一瞬、何を言われたのか分からなかった。

「結婚するんですかね」

「……そうなんだ」

なんとかそれだけ答えた。

胸の奥がズキッと痛む。

分かっていたはずなのに。

社長みたいな人に恋人がいない方がおかしい。

まして三十五歳だ。婚約者がいても不思議じゃない。

それなのに――。

仕事へ戻っても、その言葉が頭から離れなかった。

『社長、婚約者がいるんですって』

私には関係ない。

一度だって好きだと言ったことはないし、社長から特別なことを言われたこともない。

ただ私が勝手に好きになっただけ。

分かっている。

分かっているけれど……。
< 4 / 149 >

この作品をシェア

pagetop