マッチングした相手は片想いの社長でした
それから一週間。

春樹さんから連絡はなかった。

会社では毎日会っている。

でも、視線さえほとんど合わない。

春樹さんはいつも通り仕事をしている。

私は何度も彼の姿を目で追った。

だけど向こうから話しかけてくることはない。

「あれから連絡なし……」

スマホを見ても、何も届いていない。

そこで、ずっと忘れようとしていたことを思い出した。

――そういえば、婚約者がいるんだった。

胸が痛んだ。

あれは噂だと思おうとしていた。

春樹さん本人から聞いたわけでもない。

でも、もし本当だったら?

あの夜の私は何だったんだろう。

恋人だと思っているのは私だけ?

考えれば考えるほど苦しくなる。
< 45 / 295 >

この作品をシェア

pagetop