マッチングした相手は片想いの社長でした
春樹さんが指差したのは、小さな定食屋だった。

「いらっしゃいませ」

二人で向かい合って座る。

「俺は生姜焼き定食」

「私はから揚げ定食で」

「生姜焼きとから揚げね」

注文を終えると、春樹さんの表情が少し変わった。

「婚約者の件だけど」

「はい」

思わず背筋を伸ばす。

「両親が勝手に決めたらしい」

「え? 勝手に?」

「俺には何の相談もなかった」

春樹さんは冷静に言うけれど、そんなことってあるんだ。

でも、春樹さんの家ならあり得るのかもしれない。

私とは住んでいる世界が違う。

「はい、生姜焼きとから揚げです」

料理が運ばれてきた。

目の前に置かれたから揚げを一口食べる。

「美味しい」
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