マッチングした相手は片想いの社長でした
胸が痛んだ。

でも次の瞬間、春樹さんの言葉が刺さった。

「那奈を侮辱しないでほしいね」

私を庇ってくれた。

「本気でこの女と結婚するの?」

「本気だよ」

迷いのない声だった。

嘘でしょう?

これは婚約を断るための芝居。

そのはずなのに。

「冗談はよして」

「結婚相手は自分で決める」

「今まで散々独身だったくせに」

「だから、やっと見つけたんだ」

胸の奥が大きく揺れる。

――やっと見つけた。

その言葉を信じていいの?

春樹さんとお母様が睨むように顔を見合わせる。

「もう俺のことに口を挟まないでくれ」

「春樹」

「行こう、那奈」

春樹さんに促され、私はその場を離れた。

少し歩いたところで、会場に音楽が流れ始める。
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