マッチングした相手は片想いの社長でした
春樹さんが私に手を差し出した。

「踊ろう、那奈」

「え?」

「大丈夫。俺に合わせて」

その手を取る。腰に春樹さんの腕が回る。

私の手を握る大きな手。

あまりに距離が近くて、心臓の音まで聞かれそうだった。

春樹さんに合わせて、一歩、一歩。

いつの間にか、周りの人たちが見えなくなる。

でも、一つだけ聞かなければいけない。

「結婚相手だなんて聞いてません」

春樹さんは少し笑った。

「俺と結婚するのは嫌?」

「そうじゃなくて、急すぎます」

「じゃあ、ゆっくり考えて」

「え?」

 春樹さんが顔を近づける。

「俺の奥さんになること」

 冗談を言っている顔じゃない。

 何も言えなくなった。
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