高嶺の花も恋をしたい!
「長いこと留守にして悪かったな」
「ううん……お母様、大丈夫だった?」

 その日の夜、高野は五日ぶりにマンションへ帰ってきた。

 昼間に見た光景が今も目に焼き付いている。

 高野と吉倉京子のツーショットは衝撃的だった。

 動揺して落ち込んだし、ひょっとしたら今日も私の元には帰ってこないかもしれないと思ったけれど、ちゃんと帰ってきてくれた高野にまた心が揺れる。

 疑問や不安が拭えないけど……やっぱり嬉しい。

「ケガは大したことないんだ。医者が固定具をつけてしまったから、動かせなくなっただけで。まあおかげで無理ができず、思ったより早く治りそうだけどな」
「そう……良かったわ」

 どうして一度も連絡をくれなかったのか、聞いてもいいのかな。
 「忘れてた」と、無関心な態度を取られることが怖くてやっぱり聞けない……。

 そう思ってると、高野の方から話を始めた。

「ずっと圏外で連絡できなくて悪かったな」
「圏外……」

 そんなことってある?
 ずっとビルの最深部に籠っていて電波障害にあっていたとか?
 病室とか……?

 だとしても一度は外に出るだろうし、お母様は大したケガじゃないって今聞いたところだ。やっぱりそれはあり得ない。

 言い訳をするにしても、稚拙すぎて高野らしくない。
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