高嶺の花も恋をしたい!
 それにやっぱり吉倉京子さんのことも気になる。

 私は思い切って聞いてみることにした。

「あ、ああ、吉倉さんな。その……実は家族ぐるみの付き合いなんだ。悪い、それも言ってなくて。女優のプライバシーにかかわることだから言えなかった」
「そうなのね……」

 すごく言いにくそうに、でも話せる限りのことを言ってくれているのだろう。

 これが恋人に対しての対応なら、少し物足りないかもしれない。でも私は恋人じゃない。ただの同居人だ。この答えにここで満足するべきなんだろう。

 それに……もういい。高野は戻ってきてくれたのだから。

 私は不安な気持ちを抑え込み、負の感情に蓋をしようとした。

 やっぱり今ここに高野がいることが嬉しい。

 マンションを出て行かなきゃと思う反面、すべての不安に目を閉じてでも、傍にいたいと思う私がいる。

 結局のところ、ずっと一緒にいたければ何も言えないのだ。

 その日も同じベッドで眠りについたが、触れ合うことすらなかった。

 もちろん、休前日でもないのだから約束どおりなんだけれど……。
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