高嶺の花も恋をしたい!
「割り当てられている数が半端ないみたいだからねー。しばらくは帰ってきそうにないね。男子には申し訳ないけど、いない間にまた飲みに行こうよ」
「あ、うん。そうだね」
「副社長の話もしたいしさ」
 
 え? 副社長?

「今一番の話題だよ。37歳独身で超絶イケメンの夏成の御曹司! ただのお坊ちゃま御曹司じゃなく、仕事もバリバリできるエリート御曹司って話だし」
「そ、そうなんだ」
「しかも、大阪に凱旋するなり美人秘書を従えて新プロジェクトまで立ち上げて」
「美人秘書は余計よ。たまたま建築の基礎知識がある助手を探していただけで――」

「うん、でも」と言った桃子が私に近づき、耳元で声を潜めて言った。

「……私なんかは雲の上の人だと思ってるけどさ、身の程知らずにも本気で狙ってる人が結構いるみたい。だから気を付けてね」
「気を付けるって……?」
「花緒、女性社員から妬まれてるかも」
「――!」

 それって、私が副社長秘書だから?

「何の能力もないのに、高いところを狙う輩はごまんといるの。私が副社長秘書になりたかったのにー! って言ってるような人がね……」
「……」
「建築の基礎知識もないくせにね。まあちょっと私も情報集めておく。近々連絡するね! でもほんと、女の嫉妬って怖いから気を付けて」
「うん……わかった」

 桃子の話に不穏な空気を感じた私は、言いようのない不安に体が震えた。

 まさか、何もないよね……?
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