高嶺の花も恋をしたい!
 一体誰がこんな写真を撮ったのだろう。
 ただの上司と部下が同じタクシーに乗り込んでいるというだけのことなのに、ここだけを切り取って見てしまうと、いらぬ誤解を生みそうだ。

「これはごく普通に打ち上げの後、タクシーへ乗り込んだだけ――」

 そう言いかけた時、さらにその女性は写真をスワイプし、次の写真を写し出した。

「な、なんで……!」

 それは高野と私がスーパーで買い物をしている写真だった。
 そして、手を繋いでマンションへ入っていく後ろ姿も。

 どちらも同じ服を着ているから、きっとスーパーで見かけてそのまま後をつけてきた人がいるのだろう。

 着ている服の感じから、高野が和歌山へ行ったっきりになる直前だと思われる。

 全く気づいていなかった。誰かに後をつけられていたのかと思うとゾッとする。

「これ……あなたが撮ったんですか?」
「いーえ。誰だか知らないわ。でも社内に拡散されているわよ」

 信じられない。貸会議室に籠りがちだったから全く気付いていなかった。
 
「こっそり丸高組の御曹司を捕まえておきながら、甲斐甲斐しく副社長のお世話をするなんてムカつくのよ」

 どうやら真ん中の女性は副社長のことを狙っている人らしく、さっきから副社長のことばかり言ってくる。

 それよりも――。

「丸高組の御曹司……?」

 高野が? 丸高組の? 
< 181 / 237 >

この作品をシェア

pagetop