高嶺の花も恋をしたい!
「とりあえず一年、受付をやってくれないか? 今、君の希望を受け入れたとして、次に選ばれる女性はどうしても2番目というレッテルを貼られる。それはちょっと気の毒じゃないか?」

 さも2番目という立場に、私がしたような言い方だ。そんなこと、私は全く望んでないのに。

「まあ、一級建築士の合格が取れたらまた言ってきてよ。うちは院卒も多い。院卒で入社する者は1級か2級、必ず持ってるよ? それでこそ実務経験が積めるってものだ。それに比べたら……ねぇ」
「……」

 それを言われたらどうしようもない。技術職は確かに院卒が多くて、私の経歴など大したことないんだもの。

「だからね、一年やってみて、どうしてもというなら年末に転属願を出すといい。でも正直贅沢だよ。地方の小さな支店から新生活が始まる者も多いんだ。君は本社からスタートだというのに」

 まったく、我儘もいい加減にしてくれと言わんばかりに両手を大げさに上げ、人事部長は去っていった。

「……と、いうことなので申し訳ないんだけど、このまま受付をお願いできるかしら?」
「……」
「高嶺さん自身のためにもその方がいいと思うわ。今辞退したら、女性社員の反感を買うのは必須。そこは部長の言う通りだと思うの。1年我慢して、その間に建築士の試験、頑張ってみたら? 受付は残業もないし、夜間の専門学校にも通いやすいと思うの。実務はそれからでもいいじゃない……ね?」

 心から申し訳なさそうにそう言ってくれる人事課長の言葉に、それ以上「でも……」と言うことができなかった。
 たしかに、専門学校への通学は必須だったからだ。

「……わかりました」
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