高嶺の花も恋をしたい!
 「少しは落ち着いたか?」

 何もないと言ったにもかかわらず、高野は私を本社近くにあるカフェへ連れてきた。
 呆然としていた私を放っておけなかったのだろう。

 非常階段で見た女性への塩対応には驚いたけど、意外とお節介な人なのかもしれない。満員電車で助けてもらった時のことが思い出される。

「一体何があったんだ?」

 この人になら言ってもいいだろうか。

「希望の部署に……行けなかったんです」

 これだけ伝えると、私がとんでもなく我儘なことを言っているように聞こえるかもしれない。

 でも、事実を端的に言えば、たったこれだけのことなのだ。人事部長が私の訴えを一蹴したのも、大きな組織の中では当たり前のことなのだろう。

 おそらくここで高野に話しても、人事部長と同様の態度を取られるだろうと思い、やっぱりこれ以上のことを言うのはやめようと思った。

「ダメもとで変更できないか聞いてみたけど、一蹴されました。一度決まったことは変えられないって。私が我儘だったみたいです」
「君は本社受付だろう? 普通は希望して行けるようなところじゃない。女性社員なら誰もが受付に憧れるものだと思っていたが……違うんだな?」

 キュッと顔を歪めた瞬間、察知してくれたようだ。
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