高嶺の花も恋をしたい!
 そして初めてドキドキした相手である森山くんに、好みじゃないと言われたこともショックだった。

 でも自分が男だったら、やっぱり皆と同じように、可愛くて出るところが出ている小柄な女の子を好きになるだろう。

 間違っても私のようなタイプを好きにはならない。

――――苦い思い出だ。


「観賞用……? なんだよそれ、無神経な」
「あ……そ、そうなの。観賞用なんだって、私は。なんだかそれがすごく悲しくて。思わずプロスペクターを思い出しちゃった」
「は? プロスペクター……って、あのトイストーリー2の⁉」
「うん。あれ、切ないよねー。箱入りのまま売れ残っちゃって。博物館で観賞用になることで生きがいを見出そうとするの。本当は子供たちが遊ぶおもちゃなのに。男の子たちの話を聞いて、思わず自分とプロスペクターを重ねちゃった」
「プッ、クックッ……プロスペクターって! なんだよそれ。普通、自分とプロスペクターを重ねるか?」
 
 深刻な顔をして聞いていてくれていた高野が吹き出している。
 良かった……。笑って流してくれた。

 過去の苦い思い出を話してしまったものの、暗い気持ちにさせたいわけじゃなかったから。

「それだけ切実に落ち込んでたの。私だって年頃の女の子なのに、勝手に鑑賞用にされて、言い方悪いけど手を出してもらえないとか……切ないでしょ?」
「……そんな風に考えてたのか」

 そう。それは事実。だからある意味あの夜は人助けのような出来事だったのだ。私だって、素敵な男性に手を出してもらえるのだと、認められた気分。

 それに、年頃の女子として、みんなと同じようなドキドキ経験をさせてもらえたのだ。感謝しかない。
< 50 / 237 >

この作品をシェア

pagetop